新世界市場ポスター展ができるまで
2013年9月3日、新世界市場で話題のポスター展※1について、日下慶太さん(電通関西支社・写真右)、澤野由明さん(澤野工房・写真中央)、岡内ゆりさん(セルフ祭副代表)の3名にお話を伺った。
3人の出会いは2012年7月に新世界で行われた「セルフ祭※2」。奇抜な衣装で町を練り歩くなどはじけたパフォーマンスは話題となり、新世界に多くの人が訪れたが、市場の売上貢献にはつながらなかった。
セルフ祭顧問でもある日下さんは「反省会で、自分たちのしたことは何だったのかという話が出た。商店主さんに迷惑をかけた部分もあった」と語る。
「市場に何か形として残るものを作りたいねとなった。自分の仕事は広告業。社内の若手育成もしたくて、市場のポスターを作ることにした」。
新世界市場ポスター展ではコピーライターとデザイナーがペアで各店舗を取材し、ポスターを作成した。『ご近所の女のカラダを知り尽くしている男。』(婦人服店)など目を引くコピーが多く、テレビや新聞にも取りあげられ大評判になった。
新世界市場に店を構える澤野さんは「市場に多くの人があふれているのを見て、ワクワクした。実は市場の将来を悲観していたが、考え方が変わった。彼らのエネルギーと市場が融合すれば何かが起こりそう、という気持ちになった」。
市場の新たな動き
ポスター展の開催と並行して出来たのが、今回の7289ラボ会場ともなった「いちばギャラリー」だ。市場側が場所を提供し、改装後ギャラリーとして利用している。
岡内さんはここに常駐してギャラリー運営やイベントを行い、今や「おかちゃん!」と声をかけられる市場のアイドルである。先日も、地域の中学校から夏祭りで流しそうめんをして欲しいと依頼があった。
「市場に拠点を持てたことは大きい。わたしたち若手のアーティストは、お金が出るから、大事業だから、ではなく、何かオモロいことができそう、という可能性に反応する。地域の役に立つことを考えると同時に、自分も楽しむことが大切」。
2013年8月には、セルフ祭のメンバーが運営するカフェ「ピカスペース」がオープンした。「ここが成功事例となり、他の空き店舗へも新たな人に入ってもらいたい」と、セルフ祭から始まった勢いはまだまだ止まらない。
※1新世界市場ポスター展:平成24年11月~1月、新世界市場にて開催。
※2セルフ祭:誰でも参加オッケー、何でもありの21世紀の奇祭。「祭おこして、町おこす」がスローガン。
※3澤野工房:老舗の履物店でありながら、世界的に有名なジャズレーベルを立ち上げている。
(※内容は2013年8月当時のものです。)
7289ラボ第2回の本イベントは「いちばギャラリー」で開催された。雨天の中多数の方に来場いただいた。